従業員の教育・研修に必要な4つの対応を怠っていたEクリニック

困っている院長

父の代からクリニックを支えてきた看護師長と受付・事務担当と、私が採用したばかりの看護師まで、全員が辞めたいと言ってきたんです!

教育研修の画像

E院長は、周辺に住宅地が広がる駅前の好立地で、診療所を営んでいます。

代々、医者の家柄で、E院長は急逝された親御さんの建物・設備、そして従業員と患者さんを引き継いで、恵まれた条件でスタートを切った筈でした。

コンサルタント

Eクリニックには、インターナル・マーケティングが欠けていたのです。

インターナル・マーケティング

従業員の動機づけと満足度の向上により、サービスの質的向上、顧客ロイヤリティの向上、企業業績の向上を図ります。サービス業は従業員の対応が顧客満足度に大きく影響することから、積極的、継続的にスキル向上、モチベーション向上に取り組む必要があります。

【具体例】

  • 店長から従業員にサービスを提供する目的、思いを伝える
  • 質の高いサービスに向けた、従業員向けの技術・知識の習得
  • 従業員へのサービスの自由裁量
  • 事業者と従業員、従業員同士の円滑なコミュニケーション
  • 評価、賞賛、報奨、個人面談

*出典:中小機構「小規模事業者支援のための業務必携p.87」

困っている院長

私が採用した看護師さんが、前のクリニックでは教育・研修が充実していたって言うんです!

Eクリニックでは、院長にインターナル・マーケティングの観点が欠けていたことから、従業員の教育・研修について、何ら計画も実施もされていませんでした。

そのため、新しく採用した従業員から、クレームを受けることになってしまったのです。

目次

教育・研修を行わないことが原因で発生する、3つの大きなデメリット

  • 従業員の成長やスキルアップが進まない
  • 従業員の士気向上を図れない
  • 企業が発展しない
コンサルタント

それでは院長は、どうすれば良いのでしょう?

教育・研修の進め方①:OJTの実施

OJTは(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の頭文字で、現場の業務を通じて、経験者から未経験者に対して行う、または上司・先輩から部下・後輩に対して行う、企業内教育です。

ごく一般的な方法であり、どのような職場でも行われ、特に難しいものではありません。留意点は、職場での理解、教育を行う側の上司や先輩への研修の実施や、社内教育に貢献したことへのプラス評価など、あらかじめ計画的に準備しておくことです。

教育・研修の進め方②:業務マニュアルの作成

マニュアルは、ファーストフードのチェーン店などで、アルバイト向けに準備する資料であるようなイメージがあります。

一方で、正社員を対象としても、特に医療のようなミスの許されない高度なスキルが必要とされる職場において、正確な手順書として有効です。

マニュアルの作成や修整・追加には労力を要し、また使う側の利便性にも配慮が必要ですので、担当者任せにせず、企業としての重要性を説明の上、作成する担当者へのプラス評価や、管理者による完成までのチェックも必要です。

教育・研修の進め方③: 外部研修の実施

企業内で教えることの難しい、専門的な教育の場合、外部の業者が開催するセミナー等への参加を支援することが有効です。

従業員のスキルアップによって企業力が向上するメリットの他、企業側が研修費用を負担したり、就業時間内の参加を認めることによって、従業員の成長を支援する企業への忠誠心を強化して、従業員の士気向上を図ることができます。

教育・研修の進め方④: メンター制度の採用

メンター制度とは、直属上司とは別に、指導・相談役となる先輩(メンター)が後輩をサポートするものです。直属の上司と部下や同じ職場の先輩と後輩の間では「行わない」、他部署の先輩をメンターとする点に特長があります。

メリットは、新入社員の成長促進、部署を超えた組織のつながり強化、そしてメンター自身の成長が挙げられます。また、厚労省の助成金があります。

一方で、メンターの選出に配慮が必要です。メンターとなる従業員の負担が発生することや、ある程度の組織の規模がないと実行できない、という側面もあります。

厚生労働省の助成金

雇用管理制度助成コース:

雇用管理制度(諸手当等制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度及び短時間正社員制度(保育事業主のみ))の導入・実施を通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対して助成します。

助成金額:

目標達成助成:離職率低下57万円

*出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金のご案内・雇用管理制度助成コース

まとめ:従業員の教育・研修を充実させるための4つの対応

  • OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=上司・先輩が行う企業内教育)の実施
  • 業務マニュアルの作成
  • 外部研修の実施
  • メンター制度(直属上司とは別に指導・相談役となる先輩=メンターが後輩をサポートする人材育成の方法)の採用

今回は以上です。

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