複数ある店舗では、それぞれ競合環境が異なるので、本部からの効率的なコントロールが難しいんです!
複数店舗の食品スーパーを営むC社長のお悩みにお答えしようと、3年分の決算書や経営資料を拝見、店舗のベテラン・スタッフにヒアリングもしたところ、C社の課題は競合店の影響ばかりではないようです。
一般的に、「高品質で、低価格」の商品はお客さんには喜ばれるものの、一方で企業側が利益を確保することは難しくなります。
地域で長らく営業しているC社の各店舗は、商圏内に競合店が出店してくる度に、「高品質で、低価格」という難しい両立に苦労してきました。
現在のC社は、安売り競合店との価格競争を強化するべき、と考えて経営の効率化と経費の削減を図っています。
そこで、複数店舗で同一の内容の「共通チラシ」を配布することで、印刷費等の販売促進費を削減しようと、全店舗とも同じ品目で「100円均一」の特売を仕掛けています。
利益の向上のためには、競合環境が異なるのに、画一的な施策を行わない
C社の複数ある店舗は、それぞれ異なる立地にありました。
最寄の駅からの利便性、駐車場の台数、商圏の人口・年齢構成比、そして何より重要な、それぞれの商圏内の競合店の有無やその業態・特徴も、店舗ごとに異なっていたのです。
それぞれの店舗ごとに競合の状況が異なる中、C社では業務の効率化と、経費の削減を目的に、同一内容の「共通チラシ」で対応しました。
「共通チラシ」の運用は、全国規模の大手メーカーが大量生産するNB(ナショナル・ブランド)商品の掲載には有効でした。
一方で、C社の各店舗が得意な「当日の朝に水揚げされた新鮮な魚介類」や、「生産者の顔が見える安心・安全な精肉や青果」、つまり「自慢の生鮮品」は複数店舗で販売するだけの大量の品を毎日確保することが、C社の本部では困難です。
そのため、C社店舗の「共通チラシ」は、目利きの担当者が仕入れた各店舗ごとの「自慢の生鮮品」の掲載よりも、全店舗で共通して販売が可能だったNB商品の掲載がメインのデザインになっていました。
また、そのようにして集客したお客さんに対して、せっかくの「自慢の生鮮品」を、本部の指示による全店統一の特売日の「100円均一」の品として、仕入れ値を下回る価格で販売しなくてはならないことが多かったのです。
C社の売上が上がらず、利益を減らしてしまったのは、当然です。
まとめ:利益の向上に必要な権限委譲の3つのポイント
- 利益の確保のために、本部から店舗に対して、権限移譲を行う
- 権限移譲された各店舗が、特売品の価格設定の決定権を持つ
- 権限移譲された各店舗が、特売品の品揃えの決定権を持つ
今回は以上です。